ここに在らず。
「だからずっと、君には傍に居て欲しい。そのままの君が傍に居てくれるだけでいいんだ」
ーーそう告げられた言葉に、私はただ頷く事しか出来なかった。
それは、私の願いが叶った瞬間でもあったはず。
こんなに幸せな事は無いはず。
でもそれは…私の想いとは別のものだった。
トウマさんに映る私は、私の知っている私では無い。
私では無いそれは一体…誰?
…そして、私は気がついた。
トウマさんの奥に潜む孤独の影。そして孤独を纏っていた過去の私。
そうか。トウマさんが大切にしている私はきっと、ここに居る私では無い。
過去の私だったんだ。
変わっていく私を否定するトウマさん。
外へ出る事を許さないトウマさん。
その全ての辻褄があったように、私は思った。