ここに在らず。
「……トウマさん。一緒に寝ても…良いですか…?」
私がそう尋ねれば、トウマさんは嫌な顔をせずにそうしてくれた。
彼は始めこそ驚いた顔をしていたものの、回数を重ねる内にそれも定着化していったみたいで、今ではトウマさんから私の様子をみて声を掛けてくれるようにもなった。
お仕事で疲れているのに申し訳ないなと、私だって思っている。でも、それでも私はこの方法を取ってしまう。そんな私を救ってくれる彼の元へと行ってしまう。
眠れないのだ。一人でいると考えてしまう。考えれば考える程に私の思考は暗い方へと向かっていき、眠れないまま長い夜を一人で彷徨う事になる。一人の時間が怖い。一人の夜が怖い。眠れない夜程怖いものは無い。トウマさんが居ないともう私はーー…
隣に眠る、彼へと擦り寄る。
それに気づいた彼は、そっと私の頭を撫でて、抱き寄せてくれる。
あぁ、ここに居る。
安心する。
彼の匂い、彼の温もり、彼の鼓動、彼の吐息…
全てが私を、眠りへと導くーー