ここに在らず。




…ーー目を覚まし、仕度を始めたトウマさんをジッと眺めた。

それに気づいたトウマさんが「起こしちゃったな、ごめんね」と、いつものように謝って、おはようと挨拶をしてくれる。

私もいつも通り、同じベッドに潜り込んできた私が悪いのに…と心で思いながら
、それに挨拶を返してベッドから出る。

そして朝食を食べ終えると、トウマさんは今日もまた…仕事へと出掛けていく。

取り残された私はこれから私の、私だけの一日を過ごさなければならない。こみ上げる不安感を抱えたままーー…私は、いつまでこんな生活を続けなければならないのだろう。

それはきっと、以前の私に戻るまで…だとしたら、以前の私とは一体?どこまでそこへ向かえば望む私になれる?私はそこに近づいている?そこに近づけば本当にこのままで居られる?私はーー私は、幸せになれる?


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