ここに在らず。
ぼんやりと考え事をしている最中、そんな問いが耳に入ってきた。意識をハッとそこへ向けると、パソコンから顔を上げたナツキさんとバッチリ目があう。
「だから、プレゼントだって。もうすぐだろ誕生日。あれからアルバイトの話もしないし、どうなったのかなと思ってさ」
「……」
…や、ヤバイ…ヤバイッ!
「…もしかして、忘れてた?」
ギクリとした私を見逃さなかったナツキさん。すっかり忘れていた事実はもう、彼にはお見通しだった。
ど、どうしよう!もう最近それどころじゃなかったから…って、そんな言い訳しても意味無いんだけど!兎に角ヤバイ、もう本当にすぐだ、というかもう来週は9月?そうだよね⁇え、どうしよう‼︎
「…あんなに気にしてたクセに忘れてたとか。まぁ、最近のあんたじゃ仕方ないかもしんないけど…」
「え?」
「あ、いや。まぁ、だと思ってさ、俺はあんたに名案を持って来た訳だ」
「え、名案?…ナツキさんが?」