ここに在らず。
ナツキさんがニヤリと笑って言う事。それに私はどうしても信用出来ないなぁ…なんて思ってしまうと、どうやらナツキさんにも伝わってしまったらしい。
「あんたってほんと失礼だよな」と、ジロリと私を見るナツキさん。…彼の気分を害してしまったようだ。
「す、すみませんっ、あの、実はおっしゃる通り何も思い浮かんでいなくてですね、その、ぜひナツキさんのそのご名案というのをですね、私にもお教え頂けたらなと…ほら、ナツキさんの方がやっぱり色々知ってるし、私と違って何でも出来るだろうし、ナツキさんの意見は貴重というか、何というか、」
「ま、そうだな!で、名案って言うのがな…」
よ、よかった、よかった。
機嫌が戻ったらしいナツキさんに、もう余計な事を言わないようにして彼の言葉へと耳をやる。
「誕生日ケーキを作ろう!」
「…ケーキ?」