ここに在らず。


「?、開けても良いですか?」

「あぁ、どうぞ」


その返事に私はそっと箱を開ける。パコン、と手前側が縦に開いたその箱。中には銀の細工が施してあるパールのネックレスが入っていた。


「うわぁ、素敵だ…」


取り出したそれはチェーンの部分が細く華奢で、大き過ぎない大きさのパールの存在感を上手く引き出していた。そしてそのパールはぐるりと一周花の茎を型どった銀の細工がされていて、茎の先には小さな花が咲いているデザインだった。


「気に入ってくれた?」

「はい!とっても…で、でも、もしかしてこれって、すごくお高いものなのでは…」

「いや、俺がデザインしたんだ」

「そ、そうですか…って、え!デザインした⁈ 」


< 498 / 576 >

この作品をシェア

pagetop