ここに在らず。
もちろん、辺りの母への風当たりも私同様に相当厳しかったらしいけれど、それも次にちゃんとした長男を身ごもるまでの話。叔父と叔母の間で子供が出来なかった事もあって出産後はすぐに直系の長男の母として受け入れられたらしい。
するとだ。それまでは離れに閉じ込められている私の様子を見に来ていたのに、それからは顔を見せる事も無くなった。
多分その頃だと思う。その頃から私の中の隙間が広がっていき、そこへ暗闇が流れ込んできた。
私はずっと我慢する事が私と母の幸せのためだと信じて来た。母もきっと私との幸せのために本邸で頑張ってくれているのだと思っていたから、私も離れで必死に耐えてきた。
だから学校以外に外へ出てはいけない、他人と関わってはいけない、家の事なんてもちろん話してはいけない。そんな兎に角私の存在をなるべく隠したい本邸の人達の指示もずっと守って来た。
だから私には友達なんていないし、監視される毎日も受け入れてきた。出来なかった私が悪いんだと、お仕置きにも耐えてきた。それなのに…気づくと母は居場所を確立出来ていて、私の居ないそこに、母の幸せはあった。