ここに在らず。
彼が…トウマさんが、私の手を離さない。
「俺が君を助けるから」
二つの瞳が私を見つめる。
それはジッと、痛いくらいに。
「……はい…」
ーーそして私は、トウマさんに離れへと連れられて戻った。何故かやっぱり鍵は空いていた。その後本邸の方へ向かったトウマさんがどうしたのかは分からなかったけれど、向かう前、最後に私へ「大丈夫だからもう寝た方がいい」と彼は言う。…そして、
「またね。サエ」
そう言ってそっと頭を撫でてくれたトウマさん。それは私を安堵へと導き、気づいたら私は眠りについていた。
これがトウマさんに会った二回目の事。