ここに在らず。


「気に入ってくれたならよかった。…今年はやっと祝ってあげられる。サエ、お誕生日おめでとう」


そう言って、ニッコリと笑ってくれるトウマさん。


私が、プレゼントを喜んでいる事が伝わって良かった。

それで喜んでくれるなら良かった。

一緒に大切な日を祝う事が出来て…本当に良かった。


「…ハハ、結局泣いてるし」


ポロリと零れ落ちる涙を頬で感じた時、ナツキさんは笑いながら言った。


私は、トウマさんが好きだ。ナツキさんが好きだ。この空間が好きだ。そしてーー…


好きだと感じられる、私が好きだ。



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