ここに在らず。


だからいつもどんなに幸せだと感じる事があったとしても、もう今日のような幸せを貰える事が無くなるかもしれないと思うと、私はとても辛い気持ちになって、早く戻らなければと焦って追い詰められていった。そして眠れなくなる、それがずっと続いていた。


ーーでも、今日は違う。


トウマさんがくれた幸せ。いつもの彼の温かな尊いものの他に、私にはもう一つ、いつもとは違うものを感じていた。それはきっと無くならない。だってそれは、私が生み出したものだ。昔とは違う変化した今の私だからこそ、私の中に生まれたもの。


好きだと感じられる私。私はそれを好きだと…自分が好きだと、今日初めて思えた。

そしてそれは、幸せな事だと思った。


自分を受け入れられる事はこんなにも温かな事。私の好きな私、そして好きな私を見つけられた私、それら全てが私だ。私が望んでいたもの、それを新たに与えてくれたのも私自身だった。私がその幸せを生み出したのだ。


トウマさんから貰える幸せ、与えられるそれは確かにある。でも…幸せは、貰うだけのものではなかった。


幸せは、私自身からも生まれるものなのだ。




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