ここに在らず。


目覚めると、心はスッキリと晴れやかだった。きっと昨晩穏やかな気持ちで眠りにつく事が出来たからだと思う。


…うん。なんだか今日の私は、いつもとは違う気がする。


トウマさんの求めている私とは違う。それは変わらないし、考えればまた不安になってきてしまうけれど、でも私の心の中はもう不安で占領されてはいない。それ以外のものが私の心の中にはある。それが私の心の靄を払ってくれる。

希望が見出せたのだと、私は思った。


今日は休日。カレンダー的には赤い文字の日。でもカレンダーの流れとは違うトウマさんはいつも通りに仕事へと向かって、少しすると入れ替わるようにナツキさんがやって来た。


「おっす。今日は出掛けるからな?覚えてるよな?」


なんて、会うなり早々に確認するナツキさんは、もしかしたら私の記憶力を鳥類並みだと思っているのかもしれない。


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