ここに在らず。
そのまま廊下を歩いていくと、通り過ぎる部屋の中は何処も人が沢山居て、忙しそうにしていた。きっとこれはテレビで見たことあるやつだ。職場ってやつ。これはきっと皆さん仕事中で…ということは、ここはどこかの会社なのだろうか。というかナツキさんの仕事場?だから警備の人が入れてくれたんだ…でも、そんな所に何故私が?
疑問に思いながら、どう考えても場違いな雰囲気に私はナツキさんの後ろへ身を潜めて歩いた。その後、エレベーターに乗って、たまに通り過ぎる人と挨拶をして……慣れた動きでナツキさんは自然とこなしていくけれど、私は戸惑ってばかり。学校とはやっぱり違う。これもまた私の知らない外の世界だ。
「よし、着いたぞー」
そう言って一つの部屋の前、そのドアを開いたナツキさんは私を中へと引き入れた。
戸惑いながらも一歩、そこへと足を踏み入れると…まず始めに目に飛び込んで来たのは、ずらりとかけられた洋服や綺麗に並べられた小物や靴だった。マネキンも数体置かれていて、その他にも大きなテーブルや本棚なんかもある。
「…ここは、何ですか?」