ここに在らず。


トウマさんと出会ってからの私は、今日までずっと変わって来たと思う。その時々の現状を打破するかのように、私は私の作った檻の中から人の手を借りて脱出して来た。そして今、私は今の私としてここに在る。今と昔、そう区切れたとしてもそこにはまた細かに違う私が存在する。


だとしたら一体?

トウマさんの言う色とは?

求めて来た新たな色とは?


トウマさんの求める色、それを持っていた私はいつまで存在していたの?


もう私には…本当にそれが無いの?


「…でも、今の私が答えになれているのかは…分かりません」


確かに、もう無いのだと決めつけるのは早かったようにも思える。だって私は答えを知らない。トウマさんの求めるものが、ハッキリとは分からない。


「昔は確かにあったのかもしれません。でも今の私には…変わってしまった私はもう、もしかしたらトウマさんの求める答えとは…」

「いやいや、そうじゃないだろ」


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