ここに在らず。
……でも。
「着たくないの?」
何度目かのその問いかけは、私の中に大きく響き渡った。
私を元にして作ってくれた。新しいものだというこれらは、私の事をずっと見てきてくれたそんな彼が、今の私としてここに作り上げてくれたもの。
…それを着たく無いなんて、誰が思うだろう。
「…着てみたいです」
私がそう答えると、ナツキさんは嬉しそうに笑った。そして、
「良かった。これを含めての今日が、俺からのプレゼントだ」
そう私に告げて、私を準備が整っているという別の部屋へと案内した。
私はもう、今は感情のままにナツキさんについていく事にした。自分の想いに素直になる、そんな私でいいんだと。変わっていった私は間違っていないのだと、そう思えたからかもしれない。
ナツキさんはいつも、私の悩みを軽くしてくれる。私を前向きにしてくれる。
こんな誕生日プレゼントもあるのだと、私はまた一つ彼から勉強になった。