ここに在らず。
先を見据える
な、なんか…すごい事になっている。
「いいね!もう少し首を傾げてみて。そう、そんな感じ」
パシャッ
「いいねぇ」
今、私の目の前にはカメラを構えてシャッターを切る男性が。…始めは2、3枚撮ろうと、そういう話だった。どうせ着るなら記念にと、ナツキさんにそう言われて思わず頷いたのは私だ、確かに私だ。でも…
「じゃあサエ、次これな。これで最後だから」
「……」
気づけばもう、始めに着ていたものでは無くなっていて、撮る枚数も増えに増えているこの撮影会。これはもう着てみる?のレベルではない。
「な、ナツキさん、あの、私…」
「いやぁ、やっぱ本人が着ると違うな!いいよ!すげーいい感じ!最後に撮った分見せるからな!」
「……」