ここに在らず。


私はノンフィクションがあまり好きではない。何故か不思議な事にノンフィクションの方が嘘っぽく思えてしまって…というか、なんだか理解出来なくてダメなのだ。頭に入らないというか、世界に入り込めないというか。

…それもそうか。誰かの本当の世界なんだから、私が入れる訳が無い。主人公になんてなれる訳が無い。


「はぁ…」


思わず、溜息をついた。

主人公になんてなれない私。でもあの夢は本当に、本当に素敵な夢だった。

今思えばまるで本の主人公みたいで…なんであんな夢を見たんだろう。というか、あれは夢?いや夢だよ、うん。でも可笑しくない?い、いやいや違う、可笑しくはなくて。じゃあ何?何って…そう、やけにリアルだったんだよね。でもね、よく考えてみたら、ただそれだけで。

…じゃあ何?あれは夢だよね?

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