ここに在らず。


ここ最近の私の思考はいつもいつもここをグルグル回っていた。

確かに夢でもいいから、夢で会えたらと願ったけれど、まさかこんなにハッキリとした夢を見るなんて誰が思っただろう。

可笑しいと思ってしまうくらいにリアル。現実的。…いや、でもあんな事、現実じゃないから起こった訳で…


うん。そうだ。

あんな事が現実で起こる訳がない。トウマさんが家を知っているのとかその事よりもまず、現実だとしても私とトウマさんが会ったのがまだ二回目な訳で。それなのにあんな事を言ってもらえる訳が無い。


“俺が君を助けるから”


この言葉は私の宝物だった。こんな事を言ってもらえたのは勿論初めてで、あの日のトウマさんの瞳を今だに忘れられない。

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