ここに在らず。


私が顔を上げると、そこにあったのはいつもの彼の表情。



「だってここは、君の夢の中だから」



彼はやっぱりーー優しげに微笑んでいた。


その言葉に、少し泣きたくなったのは私だけの秘密。


そして、その言葉は私の夢が持つ意味を大きく変えて、私の心境に大きく影響を与えた。


ーーこれは私の、トウマさんと会うための夢。

私は今日も、夢の中でトウマさんに会う。トウマさんと会うために、私は今日も夢を見る。

夢だから、夢の中だからこそ、私はトウマさんと会えるーー




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