ここに在らず。
ーーパッと目を開く。
周囲を見渡すと、そこはもう私にとって見知った場所。それを確認するや否や私は足早にそこを目指した。
目指すその先に居るのはもちろん、フードを被ったいつものあの人。
「トウマさん。今日もお時間頂けますか?」
そう私が尋ねると、彼はその瞳に私を映してくれる。…そして、
「隣、座るか?」
なんて自分の隣を示して、私に声をかけてくれる。
最近ではトウマさんと会う度にこんな感じだった。トウマさんに会うのは決まって私がトウマさんと話したいと思った時で、それは完全に不定期なもの。
例えば、今日はこんな良い事があっただとか、こんな嫌な事にあっただとか、これはどういうことなんだろうだとか、そんな普段ありふれた事。改めて思えば本当にただの世間話。でもそれだけの事でも今日の事を話したいな、なんて思うとその夜、夢の中に彼は現れた。