ここに在らず。
何故だろう。なんでそう感じたのだろう。なんて、巡る私の思考。…でも、
…いや、何故じゃない。分かるんだ、私には分かる。
ジッと見つめるその先。目の前の彼の灰色の瞳に、影が差す。
それはーー真っ黒な、孤独の色。
…そう。彼もずっと、孤独の中に居た。
「トウマさん…」
私はたまらず彼の名前を口にした。言葉を、想いを、彼に届けたいと思った。
「私には、外の世界がよく分かりません。外との接点がありませんから。…でも…私は知っています。たとえ外の世界に居たとしても、そこに孤独は生まれる事を」
「……」
「それはきっと独りの時よりも大きな闇の中なのでしょう?だから、あなたはあなただけの世界に閉じ籠ろうとするのでしょう?」