ここに在らず。


あの日は私の過去の全てが無に帰した日。たった一人の世界の意味を知った日。そしてそこに身を置いていたと気づいた日。


何故気づかなかったのかというと、母という存在を信じていた私は独りでは無かったから。

それが消えた私に、孤独は訪れた。


あの日あのまま本当の独りになったとしたなら、私は一体どうなっていたのだろう。初めてのそれにどうすればいいのか分からなくて、何も見えなくなったそんな私に手を伸ばしてくれたのがーートウマさん、あなただ。


「私は…例えあなたがフードを被っていても、暗闇に溶け込んでいても、すぐにあなたを見つけます。きっと何処にいたって私にはあなたが分かります」


だったら、私だって。
孤独に怯えるあなたに手を伸ばしたい。

あなたを独りになんてしたくない。


< 85 / 576 >

この作品をシェア

pagetop