ここに在らず。
それをトウマさん本人に求めるのは違うのではと、ここまで出かけた言葉を飲み込んだ。
…分からない。こんな時、他の人ならどうするのだろう。外の世界ではどんなやり取りがあるのだろう。
「……」
辺りを包む静寂。
沈黙が私とトウマさんの間に続く中、ふと動き出したのはトウマさんの腕。
「…え?と、トウマさん…?」
パサリと、パーカーのフードが後ろへと落とされる。すると目の前には、いつものフードが取られたトウマさんの姿。
黒い、軽くパーマのかかったような髪が風になびく。
肌が白い。長めの前髪の下、スッと通った鼻筋にツンと尖った顎。灰色の、二重瞼でスッキリとした瞳。