ここに在らず。
ーーそれからも、トウマさんとは今まで通り変わらず、週に何回か会う日々が続いた。
相変わらずたいした事は話題に上がらなかったけれど、私はいつもその日が待ち遠しかった。なんてったって夢だ。会いたいと思うと大体は夢を見れたけれど、100%の確率とまではいかない、いく訳が無い。
そして変わらないそれらだったけれど、その中で今までと少し変わった事が一つ。それは、トウマさんがフードを取ってくれるようになったという事だ。
私に気がついてくれるとトウマさんは、いつもフードを取って私を見てくれるようになった。それが私にはすごく嬉しくて、彼との距離がぐんと近づいた、そんな気がした。
…そして、そんな楽しい時間の増えた日々はあっという間に過ぎ去ってゆき、気がつけば多くの月日が流れ、結果、約半年が経った頃。
「トウマさん。実はですね、私、高校二年生になったんです」