The shop of the witch.
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――――その世界は薄暗かった。
目に入る周りの景色は何となくぼやけている。
いや、自分に見えていないだけなのか。
彼女ははっきりしない意識のままゆっくり周りを見渡した。
(…あれ?ここって…)
ちゃんと分かるわけではないが、今自分が立っている場所に見覚えがある。
実際ここがどこかなんて確信めいたものは何一つないけれど、『何となく』覚えがあった。
一歩、前に進む。
ザリ、と嫌な感触が足の裏に走った。俯いて見てみれば靴を履いていない。───裸足だった。
明かりは一つもない。道の両端にいくつか街頭はあるのに、どれにも明かりは灯っていなかった。
一歩、また一歩、足が前に進んでいく。自分の意思とは関係なく勝手に足が動く
。
(どこに向ってるの?)
動いているのは紛れもなく自分の身体なのに、どこへ向っているのかは分からなかった。
(おいで、って言われてるみたい)
自分の意思ではないから尚更そう思えた。
そうしてどれくらい歩いたか分からない。それでも足は止まることなく歩き続けた。
不思議と『怖い』という気持ちはなかった。だけど変わりに『いつまで歩けばいいのだろう』という疑問が頭を占める。
(…あ)
考えごとをしていた目の前を何かが横切った。
錯覚と思いきやどうやら違うらしい。目で追いえば確かに存在していのだから。
ほんの僅かな距離。白く大きな発光体がぽかりと浮かんでいる。
恐る恐る近付いてもそれは逃げることなく、まるで待っていたかのようにそこに浮かんでいる。
(なんだろう、何か見える)
その明かりの中に何かがある。彼女は目を凝らし今一度それを見た。
(家…?)
家。一軒家。古びた洋館がそこにあった。
発光体に触ろうと指先でつついた次の瞬間、発光体が周り一体に光をもたらし、気がつくと洋館が目の前に。一瞬にして何が起きたのか理解できなかった。
それに触った途端に光に呑まれたのだ。
(今の何だったのかな。…あっ)
混乱の間もなく目の前に現れた白塗りの壁。その壁に長く長く巻きついている弦の蕾に心を奪われた。
見とれていると突然、薄い紫色をしたアサガオが弦を登るように上に向かい咲き始める。
――――その世界は薄暗かった。
目に入る周りの景色は何となくぼやけている。
いや、自分に見えていないだけなのか。
彼女ははっきりしない意識のままゆっくり周りを見渡した。
(…あれ?ここって…)
ちゃんと分かるわけではないが、今自分が立っている場所に見覚えがある。
実際ここがどこかなんて確信めいたものは何一つないけれど、『何となく』覚えがあった。
一歩、前に進む。
ザリ、と嫌な感触が足の裏に走った。俯いて見てみれば靴を履いていない。───裸足だった。
明かりは一つもない。道の両端にいくつか街頭はあるのに、どれにも明かりは灯っていなかった。
一歩、また一歩、足が前に進んでいく。自分の意思とは関係なく勝手に足が動く
。
(どこに向ってるの?)
動いているのは紛れもなく自分の身体なのに、どこへ向っているのかは分からなかった。
(おいで、って言われてるみたい)
自分の意思ではないから尚更そう思えた。
そうしてどれくらい歩いたか分からない。それでも足は止まることなく歩き続けた。
不思議と『怖い』という気持ちはなかった。だけど変わりに『いつまで歩けばいいのだろう』という疑問が頭を占める。
(…あ)
考えごとをしていた目の前を何かが横切った。
錯覚と思いきやどうやら違うらしい。目で追いえば確かに存在していのだから。
ほんの僅かな距離。白く大きな発光体がぽかりと浮かんでいる。
恐る恐る近付いてもそれは逃げることなく、まるで待っていたかのようにそこに浮かんでいる。
(なんだろう、何か見える)
その明かりの中に何かがある。彼女は目を凝らし今一度それを見た。
(家…?)
家。一軒家。古びた洋館がそこにあった。
発光体に触ろうと指先でつついた次の瞬間、発光体が周り一体に光をもたらし、気がつくと洋館が目の前に。一瞬にして何が起きたのか理解できなかった。
それに触った途端に光に呑まれたのだ。
(今の何だったのかな。…あっ)
混乱の間もなく目の前に現れた白塗りの壁。その壁に長く長く巻きついている弦の蕾に心を奪われた。
見とれていると突然、薄い紫色をしたアサガオが弦を登るように上に向かい咲き始める。