*ふわり、はつこい*
その瞬間、助け舟のように携帯のバイブが鳴った。

それがいいものなのか、悪いものなのかはこの時点では分からない。


「あ、好きな人からなんじゃない?ま、アタシも首を突っ込むのはこれくらいにしとくよ」


ミウちゃんはヒラヒラと掌を振って笛を吹き始めた。

私は色んな冷や汗をかきながら携帯を恐る恐る開いた。

画面には『新着メール1件』と書かれていた。

受信BOXを開く。

宛名はやっぱり陽汰先輩だった。

《From:陽汰先輩
Sub:

ま、気にしないで。
変な事聞いてごめんな。》

心なしか素っ気無い気がして胸がぎゅっとなった。


「・・・」


《To:陽汰先輩
Sub:

先輩の好きな子って、どんな子ですか?》

私はメールを送信しようとした手を止め、消去することにした。

なのに、間違って本当に送ってしまった。
< 112 / 187 >

この作品をシェア

pagetop