*ふわり、はつこい*
「心向、次リレーの練習だって。行こ」


私の手を引きながらそう言ったのはユウカちゃん。

リレーのAチームのメンバーは1年から私とユウカちゃん。

2年がいなくて3年はリンコ先輩とハル先輩。

ユウカちゃんとハル先輩は長距離からの出場となる。

男子は・・・誰だろう。陽汰先輩も入ってるのかな。


「ほらほら。もう、あんた2走でしょ。早く行かなきゃ!」


ユウカちゃんに手を引かれ、私は2走のスタート地点に立った。

なんと、同じスタート地点に陽汰先輩もいた。

すると、陽汰先輩と目が合った。


「・・・っ!」


私は慌てて目を逸らした。

目、合っちゃった。なんか、胸から込み上げてくるような。でもそれより、思いっきり目逸らしちゃったな。変に思われてないかな。


「心向ちゃん!!」


突然、自分の名前を叫ばれてはっと我に帰った。

私を呼んだのはバトンを持って走ってきている1走のハル先輩だった。

だけど私がボーっとしてたせいでハル先輩と私の足が縺(もつ)れてしまった。

そして私はその場で大転倒。


「いたぁ・・・っ」

「心向ちゃん、ごめんね!大丈夫!?」


ハル先輩が私の顔を覗き込み、心配そうに見つめている。

悪いのハル先輩じゃなくて私なのに、ハル先輩には気の毒なことをしてしまった。
< 13 / 187 >

この作品をシェア

pagetop