*ふわり、はつこい*
─夜─


「心向、卒業おめでと〜!」


お母さんが張り切って作ったお赤飯と色とりどりのおかず。

お父さんも仕事帰りにケーキを買ってきてくれた。


「ありがと〜」


私はご飯やおかずを口に放り込む。


「こうしてると日向の卒業式も思い出すわね〜」


お母さんが少し嬉しそうに言った。


「私あんとき卒業式で号泣しちゃって、晩ご飯食べる頃も目真っ赤だったっけ」

「そうそう。心向はまだちっちゃかったし覚えてないか」


断片的にしか覚えてないけど、お姉ちゃんを囲んで豪勢なご飯を食べたのはなんとなく覚えている。


「本当にあっという間だね〜」


他愛の無い会話をしながら夕食を食べ終え、私は部屋に戻った。
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