*ふわり、はつこい*
─夜─


「もしもし、ユウカちゃん?」

『心向。どうした?』


あの後、私が決意したのは、


「あのね、速水くんと付き合ってみることにしたの」


速水くんと付き合うことにした。

このまま叶わない恋を続けるより、速水くんみたいに自分を思ってくれる人がいるなら、と思った。


『そっか。よく頑張ったね』

「・・・うん」


"よく頑張ったね"なんて褒められたのはいつぶりだろう。

ユウカちゃんはきっと、この決心が私にとって本当に大切だと分かってくれたんだ。


「ユウカちゃん」

『ん?』

「大好きだよ!」

『っ!?な、なに、いきなり』


私はクスっと電話越しに笑った。


「うぅん、なんでもなーい」


電話を切り、私はベッドに倒れこんだ。

・・・きっとこの選択が一番、優良なんだ。
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