*ふわり、はつこい*

❋やきもち、

❋やきもち、


─10月下旬,体育祭─


今日は学校の体育祭。

私はクラス対抗のリレーと応援合戦にでることになった。

リレーに出るきっかけはクラスの子に推薦されたから。

周りが知ってる子ばっかりっていうのも陸上の大会と違って変に緊張する。


「心向ー、今からお昼休憩だって。お弁当食べよ!」


私はユウカちゃんとお弁当をグラウンドにある小さな倉庫の影で食べる事にした。


「今日に限って暑いね〜。日焼けしちゃったらどうしてくれんのよ〜!」


ユウカちゃんはお弁当を開きながら体育祭が始まる前、入念に日焼け止めを塗った細い腕を摩っていた。


「いいな〜、心向は。肌白いし、焼けても赤くなるだけで黒くなんなくて」


ユウカちゃんはお弁当を頬張る私を見ながらふてぶてしくそう言った。


「え、なんで?ユウカちゃんみたいな小麦色の肌って健康的でいいって芸能人の人とかよく言ってるよ?羨ましいなー」


お母さんが作ってくれたお弁当の定番、玉子焼きを口に放り込みながらユウカちゃんの腕を突っついた。


「やめてよ〜。お世辞?もう。心向ってばなんにも分かってないな〜」


でもユウカちゃんは背も高いし、夏になれば小麦色の肌が健康的で本当に私は素敵だと思っていた。

だからユウカちゃんのその不満気な表情の理由がよく分からない。
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