*ふわり、はつこい*
「位置について、よーい・・・」


─パンッ─


ピストルの音と共にレースがスタートした。

私はBだからこのレースのあとに走らなければならない。

まあ、3走だからなんてないけどね。

ちなみに2走のエース区間にはユウカちゃんが入っている。


「ほら、心向!先輩の番くるよ!」


ユウカちゃんがレースを見ながら私の肩を叩いた。


「ん、うん」

「応援しなきゃじゃん!ちゃんとおっきい声出すんだよ?」


先輩のチームは2位でアンカーの先輩にバトンが渡った。


「せ、先輩、頑張って!!」


私は声を張り上げた。

きっと"先輩"だけじゃ、どの先輩かは周りからは分からないと思う。

だけど、なんだか"陽汰先輩"て叫ぶのが小恥ずかしかったんだ。
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