*ふわり、はつこい*
教室を出ると廊下は教室以上に寒かった。


「うぅ、寒いよぉ」

「三瀬は寒がりだな。俺そこまでだけど」

「速水くんは元気だね。カーディガンも着てないの?」

「おう。でも三瀬は見るからに温かそうな格好してるな」


私は今日、カーディガンを一枚羽織っているだけだ。

だからなんでそう言われたのか不思議に感じた。


「そう?カーディガンだけだよ?」

「なんか、髪が」


・・・髪?


「なんで髪・・・?」

「なんかさ、三瀬の髪ってふわふわじゃん。温かそう」


あぁ、そういうこと。

確かに私の髪は生まれながらの癖毛で髪の量も多いから"ふわふわ"と言われることは前々から多々あった。


「そんなにうねってるかなぁ。実は結構、この髪とかコンプレックスなんだよね」

「え、そうなの!?悪い、気に障るようなこと言って」


少し焦ったように謝る速水くん。


「うぅん、いいよ。速水くんも悪気あったわけじゃないって分かってるから」
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