*ふわり、はつこい*
「・・・あのさ、三瀬、「わぁ・・・っ!?」


速水くんが何か言いかけた瞬間、私は階段の段差に躓(つまづ)いてしまった。

だけどなぜか転ばなかった。

一瞬のことでよく分からないけど私、誰かに支えられてる・・・?


「大丈夫?危ないよ」


あれ・・・この声・・・。速水くんじゃない。速水くんよりも少し低い、愛しい声。


「せ、先輩・・・!!」


後ろを見ると先輩が私の腕を持って支えてくれていた。

そのおかげで私は転ばなかったのだと今、分かった。


「よく転ぶね。怪我しなかった?」

「は、はい・・・!大丈夫です!あ、あぁ・・・ありがとうございます!」


先輩の手が私に触れている、と思うと恥ずかしくて先輩の顔が見れなかった。


「気をつけてね」


先輩はそう言って少し笑い、私達を追い抜いていった。
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