*ふわり、はつこい*
・・・て、あれ?なんか、近づいてきてる?

先輩はみるみるうちにこ、ちらへ近づいてくる。

私は思いっきり気付かないフリをして、俯いた。

心臓が壊れそうなくらいうるさかった。


「来てくれたんだ」


すぐ前の方でそんな声がした。

もちろん、声の持ち主は見なくても分かった。

先輩だ。

私は思いきって顔を上げる。

すると私達のいる舞台のすぐ前に先輩は立って、こっちを見ていた。


「あ・・・っや、はいっ。ゆぅ、ユウカちゃんもバスケが、好きでっ」

「へぇー、そうなんだ。幾田さんもH校きたらバスケ部入ってね」

「あ、はい」

「じゃ、もうそろそろ第2Q始まるから俺行くね。ゆっくりしてって」


そう言って先輩はH校のベンチに戻っていった。

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