君と同じ悼みを。



「四季が相手するから蒼弥が付け上がるのよ」


昼休みの騒がしい食堂で、一番の人気メニューであるオムライスを食べながら梓はそう零した。


「付け上がるって!」

「んー違うな、さすがに」


それだけ言って考えこんでしまった梓を尻目に、わたしはミートソーススパゲッティをフォークで巻きつけ口に運ぶ。


やっぱり綺麗だなぁ、梓…。


大きなタレ目だけど童顔ってわけじゃなくて、女らしくて可愛い。肌も真っ白でブレザーの下に着た薄ピンクのカーデがよく似合ってる。


細くて長い指先を彩る綺麗なネイルに目を奪われていると、梓が不思議そうにわたしを見た。


「食べないの?」

「いやっ食べる、けど…。梓、いつも可愛いネイルしてるよね」


入学式のときは薄ピンクに白のフレンチネイル。今はピンクベージュとシャンパンゴールドをベースに、左手薬指だけクリアネイルの上に赤いハートが描かれている。




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