君と同じ悼みを。
微かに震える手先を閉じ込めながら体育館に陳列されたパイプ椅子に座っていると、あたしの耳は否応無しに周囲の笑い声を拾ってしまう。
-どこ中から来たの?
-何て呼んだらいい?
-これからよろしく!
ああ、羨ましい。
わたしはこうして誰かが話しかけてくれるのを待つだけで。
それが悪いわけではないんだろうけど、わたしは自分のこういう性格が凄く嫌だから。
強く、凛とした人になりたい。
「あたし、梓!よろしくね!」
そう、あんな感じの。
今遠くで、きっと出会ったばかりの人に清々しいくらいの笑顔でほっそりした手を差し伸べてる、綺麗な子。