ROMANTICA~ロマンチカ~

2.呵責

鏡の中には、しけた男の顔が映っていた、
 


取りたててみにくくはないが、魅力的でもない。
 


マンスリー・マンションの一室。だらしなく開け放したクローゼットの扉が気になる。
 


扉を裏打ちする鏡に中には、ベッドの側で立ちつくす男と彼の股ぐらに顔を埋める女。
 



「ッ……!」



 
ペニスを舌で攻められる。


富沢俊夫は今している行為、それに上目づかいのねばっこいまなざしで自分を見上げる女に意識を集中させようとした。
 


――『都季のこと、嫌らしい目で見ないで』


 
耳朶(じだ)に甦る千住雅紀の声。
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