ROMANTICA~ロマンチカ~
学校の帰り道。



散歩がてら最寄のバス停から歩いて、お屋敷の庭を抜ける。



十月も下旬。


秋の深まりが木の葉の色や、空気の匂いに感じられる。 
 



アルバイトは禁止。


それに寄り道したりする時には、必ず氷室家に連絡するという条件で、バスと電車で通学させてもらっている。


運転手さんをあたしのために一人増やしてもらうのは申し訳ないし、人数の少ない薬科大学のこと、黒塗りのロールス・ロイスで登下校なんていったら、目立ちすぎていけない。


レンちゃんほどのお金持ちだって、自分で車を運転してきているのに、書生というか居候のあたしごときに運転手なんて……。
 



そう、あたしは自立したいのだ。


自立したいし、学校帰りにお茶するくらいのことはしたい。


大学生なのだから。
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