ROMANTICA~ロマンチカ~
作りなおす暇もなく、氷室涼輔が帰宅した。


いつもより早かった。

まったく、こういう時に限って早く帰ってくるんだから、本当に世の中って上手く行かない。
 


「お帰りなさい」
 


ちょっと緊張して出迎えたあたし。
 


「ただいま」


 
涼輔さん、特別嬉しそうでもないけど、特別怒っている様子もない。


 
「あの、ドイツ語の再試験、受かりました。勉強教えてくださって、どうもありがとうございました」

 
「良かったね。都季が頑張ったからだよ」


 
涼輔さんは、ニッコリ微笑んだ。

もう、「蹴り入れ池ボチャ事件」は不問にしてくれるつもりらしい。



会社から帰ったばかりで暑いのか、肌が少し上気している。セクシー。
< 169 / 369 >

この作品をシェア

pagetop