ROMANTICA~ロマンチカ~
涼輔さんはTホテルにあるフレンチを予約してくれた。

コンサートの後、ホテルのレストランでお食事ってことは、その先を期待してもいいってことかしら? 


元々婚約しているわけだし、(まあ、ちょっとした行き違いから今は書生の身だけど)そうなってもおかしくない間柄なわけよね? 

ああ、想像すると思わず鼻息が荒くなってしまう。あたしのロスト・ヴァージンもそう遠い日ではないかもしれない。
 
そうなったら、今度こそはちょっとしたハプニングにパニクらず、腹を立てず、素直に受け入れないと。

大丈夫、素直になれるよ、きっと。
 
きっと素晴らしいクリスマス・イヴになるよ。そう願うしかないよね。 
 
会場のNホールまでは、氷室家の運転手さんの平井さんが送ってくれた。
 

「まだ時間が早いですから、その辺を走りましょうか?」
 
平井さんが言ってくれたけど、
 
「あ、いいです。あたし、会場の中で待っていますから。

平井さんは早く帰ってあげてくださいな。娘さん、待ってるでしょ?」
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