ROMANTICA~ロマンチカ~
「お気遣い、どうもありがとうございます」
 
平井さんはニッコリ微笑んで、
 
「良いクリスマスを」
 
あたしを降ろす時に言ってくれた。
 
「メリー・クリスマス!」
 
去って行く車にあたしは手を振った。
 

ホールはもう開場していたので、あたしは中にあるカフェで涼輔さんを待つことにした。

別々に会場入りすることにしていたから、チケットはお互いに一枚ずつ持っている。
 
カフェでは、ホール入口が良く見渡せる席を選んだ。

涼輔さんがどんな仕草で、どんな顔をしてやって来るのか、見たかったから。
 
仕事が長引けば、慌てて入ってくるかもしれない。

涼輔さんの小走り姿が見られるかもしれない。

ちょっと想像つかないけど。
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