ROMANTICA~ロマンチカ~
そうよ、全部パパのせい。
 

「パパのおかげだよ。こうして進学校に通っていられるのも、普通にお嫁に行くんじゃなくって、薬剤師になるなんて大層な夢を持っていられるのも、今こんなに惨めなのも! 全部パパのおかげ! ああ、涙が出るわ!」
 


パン!
 


痛い。頬に平手打ち。
 
「下らないことグジグジ言ってんじゃないよ。あんたみたいな、そんな性根の腐った考えしてるから、男に振られるんだよ」
 

「別に振られたわけじゃない!」
 
「同じ事! どうせ好きだった男に彼女ができたとか、そんなもんだろ? おら、立て」
 
ベッドから引きずり降ろそうとする。
 
「やめてよ、痛い!」
 
ガラガラと音を立てて雨戸を開ける。

夜だった。いつもはスモッグで見えないはずの天の川、なぜかこの夜はくっきり見えた。
 

「あんた、星がいくつあるか言ってみなさい」
 
「数えられるかッ!」
 
「そうだよ。男だって同じ事さ。星の数ほどいるってこと」
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