ROMANTICA~ロマンチカ~
掲示板の前に集まる人、人、人……。おい、そこのデカイ人、邪魔よ。見えないじゃない。
 

人をかきわけて掲示板の前まで進む。
 
――1195!
 

あった! あたしの番号!
 

これで薬剤師になれる!
 
『ママ、受かった!』
 
『よっしゃあ!』
 
電話口から聞こえてくるママの声。絶対今、ジャンプしてると思う。
 
『都季、あたし、あんたが大学出て、病院研修終わって、開業できるようになったら、会社売るよ』
 
ママが鼻をすする。泣いてる?
 
『どうしたの、急に?』
 
『あんたの薬局経営にこの長年のノウハウと経験を生かしてやろうって言ってるの』
 
『だけど、いいの? 仕事、ママの生きがいじゃないの?』
 
『もういいの。パパが何を見て、何を思っただろうってことは、大体わかったよ。あたしもおばあちゃんになっちゃったしね。いつまでも、鉄の女じゃいられない。あんたも働くわけだからさ、将来子供ができた時には、面倒見るおばあちゃんが必要じゃない』
 

――そこまで、考えてくれているんだ……。
 
『ママ、今までどうもありがとう。本当に、感謝してる……』
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