ROMANTICA~ロマンチカ~
さっき乗ったタクシーの運転手と、もう一人見知らぬ若い男がいる。

どちらも屈強な体つきだった。

タクシー運転手は倉元(くらもと)、若い男は高城(たかぎ)と呼ばれていた。
 


「どういう、こと?」
 
「あんたに氷室涼輔と結婚されては困るんだよ」


 
富沢靖男おじが初めて口を開いた。


 
「そんなことされたら、保険金がヤツのものになってしまうからね。

せっかく、やかましい社長を始末したっていうのに。

あの女、最後まで食えない女だったよ。

まさか、あんたに婚約者なんて用意しているとはね。

一時はどうなるかと思ったけれど、結婚の報告は聞こえてこない。

探りを入れてみたら、あんたらの結婚は、無期延期だって言うじゃないか。

どうしても、あんたには死んでもらわないといけない。結婚する前にね」
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