ROMANTICA~ロマンチカ~
「来ないで」
 
『断る。

私がどうしようと、私の勝手だ。

私はおまえがいるところに行きたいから、行く』


 
「あなたになんか……」


 
言葉をしぼり出すと、涙が出てきた。
 


「助けて欲しく、ありません。

あなたのことなんて、嫌いです」


 
そこまで言ったところで、電話を離された。


 
「もしもし。

ふん、そう。物好きだね、あなたも。

あたしは、十億のほうがいいね。わかった。迎えをよこすわ。また後で」
 
旗丸理恵子は、まるで友人と食事に行く約束をするかのような口調で電話に話しかけた。
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