ROMANTICA~ロマンチカ~
高城は角材を振りまわし、涼輔さんを間合いに入れない。

涼輔さん、苦心していると思いきや、その顔には笑みすら浮かんでいる。
楽しんでいる。
 

ジリジリと、相手を壁際まで追い詰めようとしている。
 

――涼輔さん、妙に自身有りげだったけど、こんなに強かったんだ。

そう言えば、空手やってるって言ってたもんな……。
 

「こ、の……クソガキ!」
 

靖男おじが、頭突きのショックから回復した。

鼻血をダラダラ流し、その目にはすさまじいまでの憎しみがあった。

多分、さっきのあたしもそんな目をしていたと思う。
 

辺りを見回し、角材を拾ってきて、頭の上に振りかぶった。

あたしの頭をスイカ割の要領で叩き割ろうというつもりらしい。
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