ROMANTICA~ロマンチカ~
ウウゥゥゥ……。
 


シェパードが低く唸る。

牙をむき出しにしている。怒ってる。

メチャクチャ怒ってる。
 

とうとう一本の白樺の木まで追い詰められたあたし。

スカートのポケットの中には、セミの抜け殻とか、庭で拾ったキレイな石ころとか、色々入っていたけれど、犬の注意をそらせそうなものはなかった。
 

あたしはなすすべもなく、エグエグ泣いている。
 

「ブラッキィ! 何をしてる! Sit down! DOWN!」
 

涼輔くんだった。

犬(ブラッキィ)は、あっという間に牙を引っ込め、クンクン鳴いて涼輔くんに甘えてる。
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