ROMANTICA~ロマンチカ~
普通の子供だったら、そこで涼輔くんの崇拝者になり、今までの自分を恥じたりするものだろう。

だが、あたしは普通の子供じゃなくって、相当アホの子だったから、余計に腹を立てただけだった。
 

よりにもよって、パパとママの注意を欲しいがままにしている、憎たらしい涼輔くんに助けられるなど、武士だったらハラキリの一つもしている所だ。
 

犬は甘えた鼻声を出して、涼輔くんの後をついて来る。

犬の態度の豹変振りにもムカついていた。

子供だと思って、バカにしやがって! というのがあたしのその時の気持ちだった。


 
手をつないでいない、自由な方の手で、あたしはスカートのポケットをまさぐった。


大きい石の感触。


 
「トキちゃん?」
 
「嫌い!」
 


ブラッキィの後ろ姿に石つぶてをぶつける。
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