ROMANTICA~ロマンチカ~
あたし自身、逃げているのかもしれない。
 
だけどあたしは、ママを殺したあの人たちと同類だ。
 
あたしは、病に侵されている。病名は、先天性ハタ迷惑配慮欠如症候群、またの名を自己中。
 
軽井沢での夏の思い出。
 
自分に都合のいいところだけ、後生大事に持ちつづけ、ヘコんだ時には、その思い出に夢という形で助けてもらい、助けてくれた張本人には、開口一番「冷血漢! 大嫌い!」。
 

あたしは、最低の人間だ。
 
あたしには、人を好きになる資格なんてないし、人から愛されることもないだろう。
 
この期に及んで、ケガをして弱っている涼輔さんの元を離れるのは、涼輔さんのそばに長くいればいるだけ、涼輔さんのことをもっと好きになればなるだけ、別れの辛さが増すことを知っているから。
 
結局は、自己保身。
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