ROMANTICA~ロマンチカ~
あたしは、十九にもなって、まったく自立できていないダメ人間だ。

今までは、ママがいたから何とかなった。これからは、もっと色々学ばないといけない。
 
ママとあたしは、一卵性母子だった。

今でも、ママがこの世を去ったことをあたしは受け入れられない。
まるで、半身を失ったような感じだ。
 

不健康だ。
 

もうちょっとお互い大人になって、とりわけあたしが大人になって、もっと成熟した、洗練された関係を築くことだって、しようと思えばできたかもしれない。
 

だけど、それに気づいた今、ママはいない。
 
これから、どうやって生きていこう。
 
学校は、やめるつもりだ。
 
どこか、遠くに行こう。
 
遠くへ行って、涼輔さんの迷惑にならないようにしよう。

 どうしたら、誰のことも傷つけずに生きて行けるだろう?
 
遠くへ行こう。
 
とにかく遠くへ。
 
ここより、どこかへ。
 
もう、泣かない。
 
あたしには、涙を流す権利なんてないから。
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