ROMANTICA~ロマンチカ~

   ***
 
「美味しい」
 


ヤナギヤさんお手製のジンジャーマンズ・ブレッドは、サクサクで素晴らしい味と香りだった。
 
以前、涼輔さんに食べてもらいたくって作ったクッキーもどきを思い出す。
 
――あの時も、涼輔さん、倒れたんだよね……。
 
溜息。
 


「で、都季ちゃん、どうしてこの雪の中、傘もささずに歩いてたのさ?」
 
「自分だって、今こうして雪の中、ブランコに乗ってるくせに」
 
「雪が好きなんだ。お子様体質でね。

雪が降ると、外で遊ばずにはいられない」
 


ヤナギヤさんは、「まあ乗れよ」とあたしを車に乗せて、病院近くの児童公園までやって来た。

ブランコに仲良く腰掛けて、ジンジャーマンズ・ブレッドと熱い紅茶でピクニック。
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